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パワハラ 音声の録音(随時アップデート)

この記事では、パワハラ・セクハラに遭った際に録音するポイントをまとめています。録音は非常に重要です。お手持ちのスマホやICレコーダーで、極力録音することをおすすめします。
 
1 録音するメリット
(1)各場面で有利になる
録音するメリットは色々とありますが、その筆頭は各場面で「有利になる」ことです。というより、録音がないと不利になる、と言った方が正確かもしれません。証拠がないと、必ずといっていいほど加害者側は「そんなこと言った覚えはない」と言い張るものです。そうした時に、こちら側に証拠がないと、「言った」「言わない」問題になってしまいます。自分が受けた様々な被害が無かったことにされてしまうほど悔しく、悲しいことはありません。データがあれば、相手も自分の発言を認めざるを得ないですし、事実のレベルで争うことができなくなります。
 
(2)自分の頭も整理でき、気持ちがブレなくなる
言われている最中は興奮して、何を言われたか、どれくらいひどいのか、言われている自分でも冷静に判断できないものです。時間が経って、冷静に録音を聞き返すことで、事実関係として何を言われたのかを整理できたり、「こんなひどいこと言われていたのか」と悪質性を改めて再認識できたりするようになります。被害者は、たとえ相当の被害を受けていても「自分が受けた被害はもしかすると大したことないんじゃないか」「外部に相談しても相手にしてもらえないんじゃないか」と途中で自信が無くなったり、不安に苛まれたりするのが通常だと思います。そんなとき、音声があれば、「大丈夫、これはれっきとしたパワハラだ」「一線を超えている」と自信を取り戻すことができ、気持ちのブレも小さくなります。不安感や気持ちのブレはメンタルをかなり消耗させますので、これらが無くなることは大きなプラスです。
 
(3) 的確な判断が下せる
客観的な証拠があることで、的確な判断が下せたり、外部への相談がスムーズに進むことがあります。例えば弁護士等に相談するときに、証拠品として音声を持参することで、弁護士側も、「ああ、これは相当やられてますね。この場合だったらたとえば〇〇等の方法がありますよ」というように、その場で的確な提案をすることができます。その後の対処もスムーズに進みます。
 
2 録音の方法
(1)ケースごとの対策
録音のやり方には大きく分けて2つあります。①常にスイッチをONにしたICレコーダーをポケットに入れておくやり方と、②言われそうになったらスイッチをONにするやり方です。私の場合は両方のやり方を併用していました。
 
①常にスイッチをONにしたICレコーダーをポケットに入れておく
加害者側がいつ発言するかわからない場合、例えばフラッと自分の席にして何か言ってくるパターンの場合、このやり方が有力になります。私の場合は、ICレコーダーを朝スイッチをONにしてポケットに入れ、何か言われたら時刻をメモっておいて、後でスイッチをOFFにした後に発言の部分だけ編集して切り取るようにしていました。電池の消耗が激しいこと、毎日忘れずにスイッチを入れる手間があることが小さなデメリットです。私も一時期は一ヶ月に乾電池を何十本も買っていました。
 
②言われそうになったらスイッチをONにする。
例えば加害者がいつも自分の部屋にいて、加害者の部屋に出向いた時に何か言われる場合や、都度呼び出される場合はこのやり方が有力になります。この場合はスマホも使えます。部屋に入る直前に録音アプリのスイッチをONにしておき、面談中は胸ポケットの中や膝の上など、音が拾いやすい位置にスマホ等の録音機器を置きます。
 
(2)ICレコーダーかスマホで録音
録音機器はICレコーダーかスマホが便利です。私は語学のリスニング用に持っていたICレコーダー(OLYMPUSのVoice Trek)とiphoneを録音に使いました。ICレコーダーの方が小さい音もきれいに拾えますが、iphoneも、編集して音を増幅する処理をすれば、小さい音声も大きくすることができます。また、iphoneの注意が必要な点として、デフォルトの録音アプリをONにしている時に電話がかかってくると、その時点で録音を中止してしまいます。録音もれを防ぐためにも、iphoneで録音するときはフライトモードをONにして電話がかかってこないようにしておくことが重要です。
 
3 録音データはウェブサイトで編集
専用のソフトを持っていなくても、あまり複雑な編集でなければだいたいのことはウェブサイトでできます。紹介していきます。
 
(1)mp3フォーマットへの変換
例えばiPhoneにデフォルトで入っている録音アプリで録音すると、WAV形式(ファイルの拡張子が.wav)のファイルが録音データになります。一方で、編集で最も使い勝手が良く、どの編集サイトもだいたい対応しているのがmp3形式です。そこで、まずmp3形式に変換します。mp3には、例えば以下のサイトで変換できます。
 
(2)音の増幅
録音した音が小さく、聞き取りづらい場合は、音の増幅処理をしてボリュームアップします。例えば以下のサイトがあります。
 
(3)編集
いらない部分をカットしたり、発言部分だけを切り取ったりする編集には以下のサイトがあります。
 
4 文字起こしは重要
録音した後は、できれば文字起こしまでやっておくのがおすすめです。音声データに加えて文字データを持っていた方が何かと便利です。例えば、弁護士に相談するとなった場合、文字だと短時間で弁護側が全体像を把握できるので、1時間の相談時間の最初の15分で文字起こしに目を通してもらい、残りの時間で対策を協議する等、時間を有効に使うことができます。相談料も安く済みます。また、刑事告訴民事訴訟となった場合はいずれにしろ文字起こしを作成する必要が出てくるので前もってやっておいた方がいいと思います。
 
ネックなのは手間です。通常、1時間程度の面談を文字起こしするにはその数倍の時間がかかります。1時間あたり数万円程度で文字起こしをやってくれる業者もいるようですが、その場の雰囲気、外務省独特の文脈や専門用語も出てくると思うので、やはり自分でやった方が正確だし安全だと思います。また文字起こしの最中は、辛い当時の状況と向き合わなければいけません。簡単ではないと思いますし、貴重な自由時間がまるまる文字起こしで潰れてしまうのは精神的にも厳しいでしょう。ただしそれでも、自分でやるだけの価値はあると思います。
 
5 録音は「卑怯」なのか?
ここまで書くと「面談をこっそり録音するのは卑怯ではないのか」という意見も出てくると思います。が、私はまったく卑怯とは思いませんし、むしろ「立場が弱い物が当然有している権利」「少しでも対等に戦うための武器」だと考えています。「卑怯」呼ばわりするのは立場が強い人からみた偏った見方だと思います。
 
考えてみましょう。昔は録音機器があまり発達していなかったこともあって、録音されるケースはかなり稀でした。録音がないと、加害者側の「そんなことは言っていない」という言い分がある程度通ってしまいます。そうすると、被害者側はかなり悲惨な状況になります。ただでさえ被害を受けているのに、その被害が正式に認められない、という二重苦です(より正確に言うと周囲から「あの人あんなこと言ってる」と揶揄される等、被害者側が背負うものは他にもあり、何重苦にもなります)。
 
録音することで、このような著しく不公平な状況が少し対等なものになりました。重要なことは、被害者側が別に得をしているわけではなく、当たり前の状況に少し近づいたという点です。今までマイナス100だったのがマイナス10くらいになったという程度のものです。録音は当たり前の権利で、他にも解消すべきことはたくさんあります。
 
6 録音できないときの代替案
場合によっては、携帯の持ち込みが禁止されている空間でやられることもあるし、突発的にやられて録音の準備ができていなかったということもあるでしょう。そんな場合でも、①いつ②どこで③誰に④何をされたか(できれば具体的なセリフまで)メモとして記録しておくと、後々貴重な資料になります。録音よりは証拠能力が弱いかもしれませんが、何もないよりはマシです。